風を切っていけ、イキっていけ
唐突ですが、とびたしんちに行きました。
……期待させておいてなんですが、僕はお店には入っていません。
友人をお見送りに行ったのです。
断じて冷やかしではありません。彼らの人生一世一代の大勝負を友人として見届けなくてはならなかったのです。使命感に僕たちお見送りオタク4人は駆られていました。
18:00。
電車が駅に到着。
すでに手は緊張で汗だくです。僕は見送るだけなのに。
そんな僕の緊張をよそに当の本人は横浜DeNAベイスターズのCS1stステージ最終戦しか見ていません。
これがこれから大人への階段を一歩上がる男の余裕か……!!
そんなことは微塵も思っていませんでした。
18:15(推定)
現地でお見送りの友人もう一人と合流。
チャリで遊廓にやってくるその様を見ているとやはりこれからの出来事が大したことじゃないんだと思わされます。
さて、いよいよ夜の街へ。
客寄せばばあが右手を掲げ、中では艶めかしい光に照らされた嬢が座っています。
とりあえず一周します。
「N、なんで嬢に手、振り返してるの?」
「いや、これ楽しいで。天皇陛下の気分になれる」
「なるほど」
嬢 ヒラヒラ~
僕 ヒラヒラ~
…………楽しい。
嬢に手を振り返しながら歩くオタク一団の出来上がりです。
そうこうしているうちにとうとう友人Tがお相手を決めたようです。
その容姿は……まさに飛田の悠木碧。
否が応にも、以前訪れた時に悠木碧似の嬢を選んだ友人TYDが思い返されます。
オタクは、ボブカットが、好き!
「陛下!好みのボブの女の子でございます!」
「それ、ボブ陛下でよくないか?w」
「いや、ボブ陛下は男だがw」
「確かにw」
とびたでこんなくだらない話をしている一団もそうそういないでしょう。
さて、もう一人今夜試合に登板するTYDを見送り我々は一足先に祝勝会の会場である串カツ屋に赴こうとしていました。
しかし、この日は運が悪く、彼――22歳一浪素人童貞借金六桁彼女なし歴=年齢の球界一のスラッガーである彼好みの嬢がいませんでした。
ちなみに球界一のスラッガーである彼は2分で行為を済ませます。肩書に恥じない打力です。早く風俗タイムアタックをしてほしいです。でもオーダーする時間は一番短い15分ではなく20分コースです。球界一のスラッガーのポリシーがうかがえます。
閑話休題。
嬢を流し見ながら天皇陛下気分を味わい、洲崎綾似の嬢を見つけたりして盛り上がりながら歩いていた私たち。気付けば見送りの友人Uが店先のBBAと仲良くなり、先に入った友人TはTYDが入る前に店から出てきていました。
歩いている間にも
「いやー実はTイケずに出てくるんじゃないだろうか…」
「いや、俺はなんだかんだで大丈夫だと思うけど…いやどうだろう」
みたいな話があったので、とりあえず聞いてみました。
「T、どうだった? イケた?」
「店を出る直前で」
「!! おお!!」
「ブザービーターだ!」
「やる!」
風俗に行ってイケなかったオタクの話を聞いていた僕らの間には我が子の成長を見守る親のような優しい空気が流れます。
「いやでもちょっと聞いてほしい」
「どうしたのT」
「……俺は、清楚系の女の子を選ぶつもりだった」
「うん、確かに悠木碧似で和服の似合う嬢だったな」
「やろ!」
「うん」
「でもな……その子、脱いだら……刺青があってん」
、ポン(肩に手をやる)
「「「…………串カツ、食うか」」」
こうして僕らは串カツを食って帰りましたとさ。
おしまい。
追記
球界一のスラッガーは今回も見事に5分で行為を終えたそうです。
試合後のインタビューがこちらです。
Q.今回、ファンの皆さんはなかなか店から出てこなかったので20分持ったと期待していましたが?
「セックスはアド!」
Q.でも、早漏ですよ?
「セックスはアド!」
Q.串カツ、おいしいですね
「セックスはアド!」
Q.次の試合に向けて何か一言
「セックスはアド!」
Q.ありがとうございました
友人Tのブログもあるので詳しく知りたい方はどうぞ